━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃高┃城┃未┃来┃研┃究┃所┃【Future Report】 Vol.416/Part2 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ / 2019年6月7日発行 /

▽Q.5▼▽
私はとある外資系企業で働く、40代半ばのグロース・マネージャーです。
旅が大好きで、将来は会社でガツガツ働くのではなく、3-12ヶ月おきに、自分が選んだ国内外の好きな場所を転々としながら生活したいと考えており、どのようにすればそれが実現できるかを思案しています。
一般的に、我々のようなサービス・製品開発に携わる者が追及していることは、(1) いかに新規ユーザーを呼び込むか、(2)いかに既存ユーザーの満足度を高めるか、の2点に集約されます。
そして、これは俯瞰的にとらえれば、あらゆるグロース施策にあてはまることでもあり、都市開発や村おこしのようなことにも通ずると考えます。
そこでいつか、例えば「よし、次の半年はこの街に住もう」と自由に決め、「インバウンド需要を高める」「若者を Uターンさせる」「音楽イベントを成功させる」「駅のまわりを再開発する」といったような場所ごとの様々なニーズに対して、フリーランスとしてプロジェクトベースで契約する、プロデューサー・ディレクターのような存在を目指したいです。
次の7年で、引き続きプロダクト・マーケティング・パートナーシップをはじめとするグロース・スキルを極めていくと共に、外国語をあと2、3マスターする(現在英語は扱えますが、加えてスペイン語・フランス語・ポルトガル語・中国語の中から2、3を考えています)、映像制作を体得する、といったことを考えています。
高城さんは、実際にこのような地域開発プロジェクトも手がけておられると理解していますが、そこで必要なスキル、及び実際にどのようにクライアントや仕事を得ているのか、またこのようなことを考えている者に対するアドバイスなどあれば、ぜひご教示頂けないでしょうか。

【 A 】
まず、質問を整理しましょう。
「旅が大好きで、将来は会社でガツガツ働くのではなく、3-12ヶ月おきに、自分が選んだ国内外の好きな場所を転々としながら生活したい」のが、ご希望のご様子です。
しかし、事業の成長だけに専念するグロース・マネージャーは、ITを中心とした新興企業以外では、滅多にお目にかかることはございません。
これを、旧来型社会システムで生きる人たちに理解していただくには、それ相応のハードルが予測されます。
つまり、ご希望のライフスタイルを求めるには、いままでのキャリアをどこかで捨てて、一から別のことをはじめることもご思案ください。
それは、鍼灸師でも寿司屋でも構いませんが、ご自身でもお書きになっていらっしゃいますように、「映像制作を体得する」のは、一つの策だと思いますが、どちらにしろ一朝一夕にはいきません。
最低でも7年かけて、他に類を見ない存在になれば、どこでも仕事には困りません。
僕の場合は、8K動画カメラと中判カメラを両肩に担いで、ひとりで両方を同時に撮ることができるゆえ、人によって趣味や評価が異なるクリエイティビティより、わかりやすいコストの面で評価を受けます。
なにしろ、5人かかるところを1人で行い、ドローンも飛ばし、荷物も小さく、野営も得意で、その上、どんな世界の果てでも即座に参上します。
こう考えると、コストとスピードの面で(共に世界共通言語)、優位に立っているにすぎません。
この前提があってのクリエイティビティであり、これらは「分けて」考える必要が発注側にも受注側にもあるのですが、多くの人たちは貴君と同様、「いま」自分に出来ることを考えるゆえ、分けるのが苦手のようです。
一度、「今後」お求めのライフスタイルと、「いま」のキャリアを「分けて」ご思案ください。
未来は、「いま」の延長にあるとは限りませんよ。